レビューのリーディング方法

リーディングとは

リーディングとは、 レビュー対象物を読む方法 のことです。レビュー対象物を読む技術は、リーディング(Reading)技法と呼ばれます。主なリーディング技法には、以下のようなものがあります。

レビューのリーディング方法
主なリーディング方法

上記のリーディング技法は、システマティック・レビュー(体系的レビュー)とも呼ばれ、ノンシステマティック・レビュー(非体系的レビュー)に比べて、効率的でコスト対効果が高いと言われています。その理由を以下に説明します。

システマティック・レビュー(体系的レビュー)の特徴

体系的レビューの特徴は、体系化した読み方でレビューしていくため、見落としが少なく、レビュー対象物を読む観点においてオーバーラップが少ないため効率的と言われています。また、体系的レビューでは、チェックシリストやユースケースなど、レビューのための資料を事前に準備し、それに基づいてレビューしていくことが多いため、レビューアによる能力差が比較的抑えられると言われています。

ノンシステマティック・レビュー(非体系的レビュー) の特徴

非体系的レビューの代表格は、アドホックレビューです。アドホックレビューは、各レビューアがばらばらの読み方で、各自が気になった点を読んでいく方法のため、レビュー対象物を読む観点がオーバーラップしてしまうことがある反面、まったくレビューされていない箇所や観点が残ってしまう危険性があります。また、レビューの効果は、レビューアの能力に大きく依存します。

お勧めは

優秀なレビューアがいれば、リーディング技法に関係なく、結果を出すことができますが、必ずしも優秀なレビューアを揃えられないようなプロジェクト(普通のプロジェクトはこちらだと思います)の場合は、上記のリーディング方法のような体系的レビュー方法を採用することをお勧めします。

各リーディング方法の説明

CBR (チェックリスト・ベースド・リーディング)

リーディング方法の表のうち、最も知られているのは、No.3 のCBR(チェックリスト・ベースド・リーディング)でしょう。これは、チェックリストを用いて、それに沿ってレビュー対象物を読んでいく方法です。ちなみに、CBR技法としてのお勧めチェック項目の数は、A4用紙1枚に収まる範囲で、チェック項目は最大25項目までと言われています。そして、チェック項目を1つずつ取り上げて、その観点でレビュー対象物を読んでいく、ということを繰り返します。ですから、CBRでは、分厚いチェックリストは現実的にあり得ないわけです。

DBR(ディフェクト・ベースド・リーディング)

No.2のDBR(ディフェクト・ベースド・リーディング)は、今まで経験した見落としがちなディフェクト(バグ)によるチェック項目で構成されたチェックリストを用いたリーディング方法です。過去の重大バグをとりあげて、その誤り観点をチェック項目として整理し、同じような誤りを犯していないかを確認していきます。

UBR(ユースケース・ベースド・リーディング)

No.4 のUBR(ユースケース・ベースド・リーディング)は、その名の通り、ユースケースに沿ってレビュー対象物を読んでいく方法です。重要なユースケースをいくつか挙げて(これはたいていシステムテストでも使用されると思います)、そのユースケースに沿って正しく動作するかという観点で読んでいきます。

PBR(パースペクティブ・ベースド・リーディング)

リーディング方法のなかで、最も手軽でお勧めの方法は、No.1のPBR(パースペクティブ・ベースド・リーディング)です。これは、各レビューアに特定の視点を割り当てて、その視点でレビュー対象物をずっと読んでいく方法です。特定の視点のなかで、必ず設定したほうがよいのは、設計者、テスター、顧客の3つの視点です。各視点について、下記に説明します。なお、3つ以外の視点は、レビュー対象物の特性に合わせて設定すればよいと言われています。例えば、運用が難しいシステムの場合は、システム運用者の視点などです。

PBRでのお勧め視点

  • 設計者の視点とは、今後それを詳細化して設計していく人の視点であり、ウォーターフォールモデルでいえば、次の工程でその機能を設計する人の立場ということです。その記載内容で、次の工程の設計・開発ができるかという視点で読んでいきます。
  • テスターの視点とは、その記載内容で、その仕様のテストができるかという視点で見るということです。V字モデルやW字モデルで説明したように、設計内容をテストの視点で読むと、抜け漏れや不明点が見つかることがあります。
  • 顧客の視点とは、その仕様で、顧客が満足するかという観点で見るということです。顧客の立場での仕様の十分性を確認します。

PBRをお勧めする理由

PBRをお勧めする理由は、必ずしもチェックリストなど事前の準備が必要でないこと、上記3つの視点なら比較的誰でもレビューできること、上記3つの視点はどのシステムでも必須の確認点であることです。また、体系的レビューの効果でもありますが、アドホックなレビューに比べて、視点を固定するのでレビューの目的が明確になります。もし、後からバグが摘出された場合でも、バラバラの視点でレビューしていた場合に比べて、抜けていた視点を特定しやすく、後からレビューを追加するにしてもどの視点で見ればよいのかが明確になります。

さいごに

前回説明したレビュー方法と今回説明したリーディング方法を組み合わせることにより、かなり効果的なレビューができるようになると思います。ぜひご検討ください。

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