ソフトウェア品質会計
ウォーターフォールモデル開発の品質管理の決定版といえば、品質会計です。手前味噌で申し訳ないですが、正直なところ、そう思います。
決定版と思うポイントは以下の3つです。
品質会計のメリット
- 計画から出荷に至るウォーターフォールモデル全体を網羅した一気通貫の品質管理技法である
- バグ数を目標管理することにより、品質確保したことを定量的に説明できる
- レビュー重視により早期の品質確保が可能である
一気通貫の品質管理
上図は、上から下に時間軸が流れています。品質会計は、バグ目標管理技法とバグ予測・見直し技法の大きく2つの技法群から構成されています。上図に示すように、品質会計は、計画から出荷までのウォーターフォールモデル全体を網羅しています(ポイント①)。品質会計の各技法が関連しているので、品質会計を適用すれば、計画から出荷まで一気通貫の品質管理が実現します。
品質状況を説明できる
品質会計は、バグ数を目標管理することにより、品質が作り込まれたことを説明する品質管理技法です(ポイント②)。ですから、品質会計を使いこなす重要なコツは、開発しているソフトウェアにどれくらいのバグが作りこまれているかを精度良く予測することです。そのために、図の右側にあるバグ予測・見直し技法を用意しています。それらの技法を使って品質分析してバグ予測値をきめ細かく見直すことにより、品質状況を定量的に説明できるようになります。
レビュー重視
品質会計は、設計・製造をする上流工程(上工程と呼びます)でのレビューを重視します(ポイント③)。上工程でのレビューを重視することによって、品質が向上することは想像できると思いますが、重要なのは同時に生産性も向上するという事実です。レビューを増やせば品質は向上するけれど、生産性が悪くなるのでは?と危惧するかもしれませんが、実はそうではないのです。その話は、別の機会に詳細に説明します。
品質会計の誤った使い方
典型的な品質会計の誤まった使い方は、バグ数だけに注目してしまうことです。バグ数だけに注目すると、バグ数の目標値と実績値のつじつまを合わせることに終始してしまい、ソフトウェアの品質確保ができているかという本質から外れてしまいます。
バグ数は結果指標
バグ数は、結果指標です。結果指標という意味は、テストやレビューでバグを摘出するという行為の結果、計測される数ということです。因果関係の結果ということですね。バグは、何もしなければ顕在化しません。テストやレビューをするから摘出されます。バグ数は、テストやレビューの量に依存する数値なのです。したがって、私たちが管理できるのは、どれくらいテストやレビューをするか・したかであり、その結果が摘出されたバグ数なのです。そのバグ数の出方によって、品質状況を分析できます。この因果関係が理解できれば、品質会計はとても有効に使えるはずです。
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